2021年01月31日 2021年11月25日

肩書きがミスマッチを誘発する

デザイナーと名乗りソレっぽい発言を繰り返していれば、デザイン仕事の打診があるように、その人のバックグラウンドもストーリーも無視して、職務を定義するものが「肩書き」

前職でずーっとモヤモヤし続けていた、肩書きがミスマッチを誘発する現象と対策について、見解を記したいと思います。

肩書きの定義がミスマッチを呼ぶ

面接で、制作会社でのデザイン・ディレクション経験を活かし、「ディレクター」として活躍したい。上場を目指す企業に相応しくビジュアル面を引き上げていきたい旨を伝えていた。

しかし(経験豊富なディレクターさんたちも)入社して初めて、通常のディレクションスキルが必要な仕事は(ほぼ)存在せず、Excel関数Excelを使った事務作業、データ分析・集計スキルを求められていたと知ることになる。

Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント」には、必須スキル「Excel関数 レベル★★★★★」だなんて書いてない。それどころかExcelのエの字も出てこない。

あれ? 事務職だったんだっけ……? 私は何をしにきたんだろう。

同じ本を読んでいたディレクターさんと、笑い合った記憶がある。

経験豊富な人ほど、肩書きに対する既存の定義と会社の定義のギャップを埋められず、使えないやつだとレッテルを貼られてしまう採用の仕方に、ある分野のエキスパートである面々を見ては「◯◯さんの無駄遣い」だと日々感じていた。

実に不幸なミスマッチだ。

採用時のミスマッチを回避する方法

面接を受ける側は、自分のバックグラウンドを説明する際に、実施する工程や大切にしていることを説明するように心がけたほうがいいと言える。

また、

  • ディレクションスキルの中でここは自信がある。
  • ここはやったことがないが、出来そうだ。
  • 努力が必要だが、1年以内に戦力になる自信がある。

など、業務で必要になると想定されるスキルへの課題間も含め、しっかり伝達しておくと、自衛になると感じた。(ただし、なんとしてでも就職したい場合は言わない方がいいかも)

口頭で話す時間がない可能性も考慮して、ポートフォリオにしっかり盛り込んでおきたい。

採用側も基準をはっきりと設ける

採用側も求める人物像や一般的なスキルだけではなく、実業務で重要視しているスキルを表にするなどし、明確に提示した方がいい。

少なくとも内部資料として持っておき、照らし合わせながら採用した方が、お互いに幸せだと思う。

ダメな求人の例

【Webディレクター募集】人材紹介サービスにて、UI/UX改善を行っていただきます

<必須スキル>
Webディレクションの経験◯年以上

<歓迎スキル>
Webサイト制作経験、コーディング経験

良い求人の例

【Webディレクター募集】人材紹介サービスにて、データ分析改善及び、検索流入チャネルの増強、Webサイトの運営にまつわる業務を実施していただきます

<必須スキル>

  • インハウスでのサイト運用経験◯年以上
  • Excel(関数やピボットテーブルを使用し、データの分析や集計業務を行います)
  • データドリブンにABテストを実施した経験◯年以上
  • ツール導入に必要なテクニカルディレクション

<歓迎スキル>

  • コーディング経験(Javascript / vue.js /php)
  • データアナリスト経験
  • 広告運用経験
  • コンテンツマーケティングディレクション経験

具体的なほど、不幸なミスマッチが防げる。

肩書きのパワーは強力

入社前にバックグラウンドを伝えていたとしても、採用後は肩書きと定義された業務を遂行できるか? が重視される。

面接担当者と現場担当者が違う場合や、指示系統が複雑な場合は、自身のバックグラウンドややりたいことは、何も伝わっていないと考えた方がいい。

その会社の肩書き像にマッチした仕事がどんどん落ちてくるようになるからだ。


ここからは一転してディレクターではなく、デザイナー目線の話になる。

前職での反省点を活かし、現職は「ディレクションに興味がある、デザイナー」として入社した。

ただ、今度は前職で「ディレクター」として働いていたときとのギャップに打ち震えている。

デザイナーと名乗った途端に、作業がめちゃくちゃ落ちてくる

当然ながら、デザイナーとしての能力を求められるようになるが、幸い昔取った杵柄的なスキルでまかなえており問題はなかった。

ただ、インハウス&クライアントワークのため、ロゴ、名刺のデザイン、イラストレーション、パワポの清書まで幅広く求められるわけで、デザイナーはデザイナーでも、人によっては合わない仕事だなぁと感じた。(私は歓迎)

デザイナーと一口にいっても得手・不得手があることを踏まえると、デザイン業務についても、細かなスキルを明らかにしておくと良いと感じた。

コミュニケーション面のギャップ

(会社の姿勢もあると思いますが)、ディレクターは何をやっても第一声から詰められがち。シビアな数字と責務を背負い、ピアノ線の上を歩いているような緊張感があるし、ロジカルに質問をぶつけられ、ロジカルに回答することを求められる。

対するデザイナーは、遠慮されるんですよね。
「クリエイターとのコミュニケーションが難しい」と言われますが、打たれ弱いと思われて、かなり気をつかったレスポンスをもらったりする。

デザインを定量化することは難しいから、どれだけKPIに寄与したか詰められても困るけど、コミュニケーションスタイルとしては、ディレクターの時と同じように、シビアに接してもらえたら嬉しい。

その方が、結果的に良い仕事ができそうだから。

兼ディレクターはどこいった?

ふぅ、企画したい。
前職では(ダメダメなりに)企画して進行管理してガツガツ改善進めてたんですよ?

現職では力不足なことは分かっているけど、企画や運用のコアな部分に触れたい。
数字を見て改善していきたいし、自分のクリエイティブの成果がみたいし、広告配信のデータが見たい……。

デザイナーからディレクターに進化を希望していたけど、このままではデザイナーとして終わりそうな危機感がある。

それほどに肩書きが持つパワーは強いのです。

どの肩書きを名乗るかで、引き寄せられる仕事の質が変わるんだもの。

おわりに

幸い現職は、やりたいことにグイグイチャレンジできる環境のため、声を上げたら調整していけそうな点が救い。

不幸なミスマッチを防ぐために、企業側も、求職者側も、しっかり対策してほしいものだと心の底から願っています。

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