2020年04月16日 2021年11月25日

「岩田さん」どこまでも優しい岩田さんの世界

積んでいた本を手にとる機会に恵まれたので、感想をご紹介。

岩田さんは、負債を抱えたHAL研究所の社長になり、厳しい状況から会社を立て直し、任天堂の社長に就任した人。といわれて想像すると、厳しい人なのかな? キレ者なのかな? とステレオタイプな人物像を思い浮かべてしまうのですが、ページをめくるごとに開発畑出身の「岩田さん」ならではの物事の捉え方が、ふわっと香ってきました。

その世界は、驚くほど優しい。

岩田さんのマネジメント

腹落ちするまでしっかりと

トップダウンで物事が降りてきたとき、たいてい温度差が課題になります。あれこれと論議を重ね、合意を重ねた上層部は腹落ちしているのでしょう。しかし、青天の霹靂状態のメンバーレベルには伝わらないことも多いのです。

温度差を感じたからといって、面と向かって意見を言えるし社員はどれだけいると思いますか?

「人は逆さにしてふらないと本音を言わない」

岩田さんは、社員と真摯に向きあうことを好み、半年に一度社員全員と面談を行ったそうです。その場で、納得がいかない部分は情報量に偏りがあるのだと考え、丁寧にコミュニケーションを図りました。

カタチだけ真似してもうまくはいかない事だからこそ、取り入れられたら強い武器になりそうですよね。

伝えるときは、楽しくわかりやすく

岩田さんが発表を行う際は、楽しくわかりやすく伝えることを心がけてきいらっしゃいました。

例えばWiiの生産を始める際には、工場長に実際のゲームを体験してもらい、「これはたくさん作らねば!」と理解してもらいながら、周知したこともあるそうです。

伝え方一つで、人の心がまとまるエッセンスですよね。

得意なことを意識し、合理的に判断する

事業を推進していく上で、得意なことだけをやり続けるわけにはいきません。選択と集中という言葉がありますが、アレもコレも手につければいいとも言えないですよね。

自身が得意なことを活かす

岩田さんは、もともと開発者で、社長になるつもりではありませんでした。会社が窮地に陥った時、今いるメンバーの中で自分がやるのが合理的だと判断したからと、迷わず遂行したのだそう。

プロジェクトへの関わり方も、常に一番大変なプロジェクトに参加すると決めていたそうです。今いるメンバーの中で、岩田さんが一番課題解決が得意だと感じていたから。

会社はいろんな個性の集まり。一人ではできない大きなことをする組織。

メンバーとの面談を経て、誰が何を得意としているのかを掴み、なにを軸とした集団なのか、を意識することで、「任天堂らしさ」を作っていったのかな。

大切にしたいことを、率直に伝える

岩田さんは周りにいる人たちを笑顔にしたい。「ハッピー」を広げることを大切にしていたそうです。

糸井重里さんとの出会いの回想で、大切にしていることが近い人とは、すぐに打ち解けられるのだと語っていたました。

きっと、大切にしていることが近いからこそ、言葉にせずとも一貫性のある言動や行動につながるのですね。

わたしにも大切にしている価値観がありますが、意識しないとふっと忘れてしまいます。気づくと誰かの価値観や、短期的なメリットのある行動へと吸い寄せられています。

違和感を感じてやっと、自分の価値観と違うことをしているのだと気づくのですが、その時にはたいてい引くに引けない段階になっているんですよね。

  • 何のために働いているのか?
  • 仕事を通して何を実現したいのか?

大切なことは、いつでも率直に伝える準備をしておくことが、自身の舵取りにもなるんだろうなと感じました。

自発的に変化すること

一度成功してしまうと、過去の成功例から抜け出せなくなることありますよね。しかし、同じことを繰り返していたら間違いなく衰退します。だからこそ、任天堂は新しいことに挑み続けました。

据え置き型のゲーム機から、二画面に分かれたゲーム機へ。そして、リモコンのようなコントローラーのWiiへと、自発的に変化を促し、世代を超えて、お茶の間で愛されるゲーム機として認知されたのでしょう。

自粛中の人々がWii Fitで運動しているというツイートを見かけましたが、生活の一部になっているからこその発言ですよね。

Wiiがあることで、お茶の間が少しハッピーになるのだとしたら? ゲームをしなくなったわたしでも、欲しくなってしまいそう。Wiiの制作にまつわるコダワリは、すべて面白かったのでぜひ本で読んでいただきたいです。

おわりに

岩田さんのお話のピースは、下記のサイトに散らばっています。

冒頭で糸井重里さんが、真新しい話があるわけではないのだけど、まとめて読めるように再編集したのだと述べておりました。インターネットの特性上、ピースを集める過程で横道に逸れてしまうことがあります。

もし、岩田さんの世界を垣間見たいなと思ったなら、書籍がおすすめですよ。

読むだけで、岩田さんのマインド、価値観、哲学のようなものがしみわたり、(自分の能力は棚に上げて)あぁ、こんなリーダーのもとで働いたら、目標に向かって邁進できる! 素晴らしいチームワークを経験できるのでは! という思ってしまう一冊でした。

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